2017.02.22 Wednesday
絵本の紹介「ノラネコぐんだん パンこうじょう」
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今日2月22日は、222(ニャーニャーニャー)で「猫の日」です!
古典から新作に至るまで、ねこが登場する絵本は数えきれないほどありますが、今回は現在最も注目されている「ねこ絵本」を紹介します。
工藤ノリコさんの「ノラネコぐんだん パンこうじょう」です。
作・絵:工藤ノリコ
出版社:白泉社
発行日:2012年11月20日
私も個人的にファンである工藤ノリコさんの大人気シリーズ。
以前の記事で工藤さんの作品の魅力について語りましたので、そちらも併せてご覧ください。
とにかく、工藤さんのキャラクターは可愛い。
それも、ちょっと他にはない可愛さです。
それはやっぱり、あの「顔のパーツ」の力だと思います。
たいていのキャラクターが、横一線の目に、タラコくちびる(クチバシ)。
たったそれだけのパーツで、実に豊かな表情を読み取ることができるのです。
これは「へのへのもへじ」並みの発明なのではないかと思います。
「ワンワンちゃんの パンこうじょう」を覗いているノラネコぐんだん。
なにやらよからぬことを考えているよう。
工藤さん、相変わらず食べ物や小物の細かい描写が楽しいです。
夜中にほっかむり姿で工場に忍び込んだノラネコぐんだん。
自分たちでパンを作って食べるつもり。
意外と手際よくやっていますが、ふくらしこを一缶まるごと入れた結果、膨らみ過ぎたパンがかまどを破壊し、工場をふっ飛ばしてしまいます。
駆けつけたワンワンちゃんの前に、巨大なパン。
ワンワンちゃんはノラネコぐんだんを正座させ、
「こんなことをして いいと おもっているんですか」
と、なんとも型どおり過ぎて力の抜けるお説教。
ノラネコぐんだんも、
「いいと おもってません」
「ニャー」
と、絶対反省してなさそうな返事。
しかし、ここからがワンワンちゃんの教育(?)流儀。
巨大パンを使って、「パンまつり」を開催。
ノラネコたちはお手伝い。
パンを切ったり、サンドイッチを作ったり、結構楽しそうに働いてます。
労働の大変さや楽しさを教え、食べ物を粗末にせず、そして最後は工場の再建設まで、経験主義のまさに「生きた教育」。
ノラネコぐんだんの好奇心や興味を、実体験させることで満たしてやるわけです。
★ ★ ★
このシリーズを読み続けていくと、ひとつの疑問が湧いてきます。
「ワンワンちゃんって、何者?」
パン屋さんかと思っていると、農場主になってたり、お寿司屋さんになったかと思うと、飛行機まで所有していたり。
そのあたりの説明は一切ないんです。
実は、工藤さんはかつて4コマ漫画として「ワンワンちゃん」シリーズを連載しており、ノラネコぐんだんも、もとはその漫画のキャラクターだったんですね。
掲載されていたのが就職誌だっただけあり、「さすらいの就職犬」という設定のワンワンちゃんは、毎回様々な職種にチャレンジします。
絵本では名前すら出てきませんが、いつもワンワンちゃんと行動を共にしているニワトリ(?)は「マーミーちゃん」というロボットで、小鳥の方は「パッポヒ」というドイツ生まれの鳩時計に住む鳩です。
うーん、初めて読んだ時は、ワンワンちゃんとマーミーちゃんが夫婦で、パッポヒがその子どもかと思ってました。
この二人も、よく見ているとそれぞれのキャラクターに合った行動を取っていて面白いですよ。
パン屋のお客さんも、漫画にも登場したキャラクターたち。
漫画では、ノラネコぐんだんを始め、ほぼ全員がワンワンちゃんの足を引っ張ることが多いですが。
絵本紹介のはずが、漫画紹介みたいになってしまった……。
ので、最後にひとつ。
おさるさんが買っている「ねじりパン」の値段はいくらでしょう?
よーく絵本を読み込めばわかるようになっていますよ。
推奨年齢:1歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
ワルかわいい度:☆☆☆☆☆
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