【絵本の紹介】「3びきのかわいいオオカミ」【465冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

古典絵本といえば昔話や民話。

昔話や民話のいいところは数々ありますが、著作権が無いこともその一つに数えられると思います。

 

王道と言われる昔話絵本でも、時代時代の要請に応えて微妙にその形を変えていますし、そうやって変化し続ける性質があるからこそ、長久の時を超えて昔話が生き残り続けられるのだと言えます。

そしてまた、著作権がなく、なおかつ誰でも内容を知っているからこそ様々なパロディを楽しめるのも昔話の特徴です。

 

今回は大人から子どもまで楽しめる極上のパロディ絵本「3びきのかわいいオオカミ」を紹介します。

文:ユージーン・トリビザス

絵:ヘレン・オクセンバリー

訳:こだまともこ

出版社:冨山房

発行日:1994年5月18日

 

元ネタは言わずもがな、「3びきのこぶた」です。

 

≫絵本の紹介「三びきのこぶた」

 

このブログでは過去何作かこの王道絵本のユニークなパロディを取り上げています。

 

≫絵本の紹介「3びきのぶたたち」

≫絵本の紹介「三びきのコブタのほんとうの話」

 

上記2作品いずれも作者の独創性や遊び心が満載の傑作ですが、今作はお話の筋そのものに関してはいわゆる逆転ものでして、オオカミとこぶたの役割を入れ替えた内容になっています。

こう書くとさほど特徴的ではないように見えますけど、そのインパクトは他パロディに勝るとも劣らず。

 

お母さんから独り立ちを促された3びきのかわいいオオカミたちは、レンガで家を作ります。

最初からレンガ。そしてバラバラではなく3びき一緒に暮らします。

そこへ「わるいおおブタ」が通りかかります。

いや、顔。これは悪い。

おおブタはオオカミたちの住居に侵入しようとしますが、レンガ造りの家は息を吹いたくらいでは壊れません。

するとおおブタはハンマーを持ってきて家を叩き壊してしまいます。

この力業。

オオカミたちは逃げ出し、次はコンクリートでさらに頑丈な家を建てます。

 

おおブタの悪事はさらにエスカレートし、今度は電動ドリルで家を破壊。

次にはオオカミたちは鉄条網や南京錠を使い、さらに厳重なセキュリティハウスを建築。

もはや家と言うより要塞。

それでも諦めないおおブタは、とうとうダイナマイトを持ち出して家を吹き飛ばしてしまいます。

もうめちゃくちゃ。

 

いくら頑丈な素材で家を作っても、それを超える兵器とのイタチごっこが繰り返されるだけだという現実に、オオカミたちは発想を改め、今度は花で家を作ってみます。

 

すると今度もやってきたおおブタは、花のいい香りを吸い込んで気分が良くなり、だんだん優しい心になっていき、ついには踊り出します。

改心したおおブタはオオカミたちと仲良くなり、4ひきで幸せに暮らすようになるのでした。

 

★            ★            ★

 

おおブタの突き抜けたワルっぷりと破壊行動が面白過ぎる。

ヘレン・オクセンバリーさんによる絵の力も大きいです。

おおブタの表情や躍動感も見事だし、クロッケーやバドミントンに興じるオオカミたちの描写もおしゃれ。

 

あれだけ極悪非道のワルだったおおブタがあっさり改悛してしまうラストを含めてユーモラスですが、ここには社会から犯罪を減らすためにはセキュリティよりも花々に象徴される人の心の余裕こそが有効なのだというメッセージが見られます。

 

作者のユージーン・トリビザスさんは作家であると同時に著名な犯罪学者でもあるそうで、なるほどと納得。

それにしてもやっぱりおおブタのインパクトがほとんど持って行ってますけどね。

それもまたよし。

面白ければメッセージは後から伝わります。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

おおブタの迫力度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「3びきのかわいいオオカミ

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【絵本の紹介】「オオカミのごちそう」【464冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

10月に入ったら急に涼しくなりましたね。

これくらいの気温が続いてくれたらいいんですけど、油断してるとまた急に寒くなりますからねえ。

 

今回は「オオカミのごちそう」を紹介します。

文:木村祐一

絵:田島征三

出版社:偕成社

発行日:1999年4月

 

あらしのよるに」シリーズを代表作として、数々の絵本を作っている木村祐一さんと、「ちからたろう」に代表される強烈に土臭いインパクトある画力の田島征三さんのタッグ作品。

 

≫絵本の紹介「ちからたろう」

 

今回も田島さんの絵筆は冴えわたっていますが、まずはこのオオカミの造形。

毛並みが稲妻のように尖り、口は耳まで裂け、ギョロ目に牙に真っ赤な舌。

ほとんど怪獣。

 

こんな化物みたいなオオカミに狙われたコブタは、また対照的に可愛らしく小さく、田島さんには珍しい鮮やかな光沢あるピンク色が用いられています。

なんだか中華料理的なコブタ。

すんでのところで難を逃れます。

 

オオカミはおいしそうなコブタが諦めきれず、どうあってもあのコブタを掴まえようと捜索を開始します。

丘の動物たちはオオカミを恐れて逃げ惑いますが、オオカミは目もくれません。

狙うはあのコブタただ一匹。

 

ここでオオカミの思い描くコブタが描かれますが、頭の中のコブタは現実より少し大きく太っています。

ここがこの絵本のポイント。

そして対照的にオオカミは腹をすかしてどんどん瘦せ細っていきます。

それでもコブタを美味しく食べるために、他の獲物には手を付けません。

オオカミの頭の中のコブタは丸々と太るばかり。

 

そしてついにコブタを見つけ、大きく口を開けてかぶりつこうとしますが……。

そこでふと、オオカミは考えます。

あのコブタ、こんなに小さかったっけ。

 

これはきっと違うコブタだと思いなおし、結局コブタは食べずにまた歩き始めるのでした。

 

★            ★            ★

 

「逃がした魚は大きい」を絵本化したような作品。

木村さんの遊び心に、田島さんの筆が最大に応えていますね。

 

繰り返しになりますが、田島作品にはやや珍しい鮮やかな色使いが特徴的です。

ピンク、緑、水色などがふんだんに使われています。

 

過剰に痩せて針金みたいになっていくオオカミが滑稽でもあり、いっそ哀れにも見えてしまいます。

絵本によく登場する、憎めないオオカミの一典型。

摂食障害みたい。

 

コブタが食べられなくて良かったと安心する反面、オオカミには妥協してもらって何でもいいから食べて欲しいと思わずにはいられませんね……。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

豚の丸焼き食べたい度:☆☆☆☆

 

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「オオカミのごちそう

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【絵本の紹介】「とんでもない」【454冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「とんでもない」です。

作・絵:鈴木のりたけ

出版社:アリス館

発行日:2016年2月15日

 

鈴木のりたけさんを取り上げるのは初めてですが、この表紙のライオン、めちゃくちゃ佳くないですか?

色使いとか質感はリアルなのに、ここまで人間臭く表現できるのが凄い。

お腹出てるし。

 

ライオンだけじゃなく、登場する動物が全部人間臭くて表情豊かで、なおかつどこかに人生の哀愁すら漂わせています。

画力が素晴らしいのはもちろん、とにかく作者のサービス精神、遊び心の豊かなこと。

私も息子もイチオシの絵本作家さんです。

 

内容は「隣の芝生は青い」をユーモアたっぷりの物語に仕上げたもの。

主人公の男の子は自分の平凡さを嫌い、サイの鎧のような立派な皮を羨ましく思います。

するとサイ(自転車に乗って買い物帰り)の独白に切り替わり、「よろいのような りっぱな かわが うらやましいって? とんでもない」とぼやきます。

こんな重い皮を持つよりも、兎みたいに身軽に飛び跳ねてみたいというのです。

すると今度は兎が「とんでもない」。

飛び跳ね過ぎて困ることも多いのだと。

 

以下、それぞれの動物が他人を羨んでは、その相手が「とんでもない」と自分にしかわからない苦労を語ります。

そのユーモラスなこと。

細部まで描きこまれた迫力のある絵も楽しくて仕方ありません。

最終的にはみんなそれぞれないものねだり、でもそんなものかもしれないね……というどこか優しい人間理解で幕を閉じます。

 

★                   ★                  ★

 

一枚一枚のカットが本当に重厚でいてユーモアが詰まっていてワクワクします。

なおかつ作者は様々な箇所に遊びを入れていて、例えばカバー絵をめくるとまったく違う絵が現れたり、男の子の部屋の本のタイトルが変わっていたり、裏表紙にそれぞれの動物の日常の一コマが描かれていたり……と飽きさせません。

 

こういう遊びは絵本ならでは。

もっとやって欲しい。

 

贅沢を言えばそういう隠し要素は自分で発見するから楽しいので、奥付に隠し要素とその答えまで書かれているのは、個人的にはいらないかな…と思います。

「こんなところにこんなものが描かれているのを知ってるのは自分だけかもしれない」という感情は絵本好きにとってたまらない愉悦なんですよねえ。

 

推奨年齢:6歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

人間臭さ度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「そうべえごくらくへゆく」【439冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

私は上方落語や浪曲などの演芸が好きで、車の運転中などよく聴いているのですが、ここ一年ほどは息子も落語が好きになってきまして、嬉しい限りです。

私の場合は別に親の影響でもなんでもなく、大人になってから自分の無教養が不安になって色々と聴き始めたんですけど、息子の年齢からそういう古典芸能に触れることは大変意味深いと思います。

 

ただ、例によってこだわりが強くて食わず嫌いで融通の利かない子ですので、聴くのは米朝師匠だけです(稀に枝雀師匠も)。

それも同じネタのCDを何回も何回も繰り返し、一日中BGMみたいにしてかけっぱなしにします。

本人は本を読んだり絵を描いたりして遊んでいて、ちゃんと聴いてるのかどうかわからないのですが、お気に入りの箇所に来ると毎回笑うので、やっぱり聴いているらしい(よく5周も6周も繰り返して同じところで笑えるなと感心します)。

 

今回は上方落語をもとにした傑作絵本「じごくのそうべえ」の続編を紹介しましょう。

そうべえごくらくへゆく」。

作・絵:田島征彦

出版社:童心社

発行日:1989年10月20日

 

日本絵本史上に残る抱腹絶倒のユーモア絵本「じごくのそうべえ」の過去記事も併せてお読みいただければと思います。

 

≫絵本の紹介「じごくのそうべえ」

 

米朝師匠の大ネタ「地獄八景亡者の戯れ」をもとにしながら、軽業師のそうべえを主人公に据え、個性豊かな面々が地獄をしっちゃめっちゃかにかき回す活躍ぶりが痛快だった前作。

オチも落語とは違い、ちゃんと生き返るので子どもにも納得の大団円で締めくくったわけですが、今回もまたそうべえが綱渡りの芸を披露中、突風に吹き飛ばされて山伏のふっかい・医者のちくあん諸共死んでしまいます。

前作同様えらい顔をした閻魔様の適当なお裁きによってまたもや地獄へ送られる三名。

ちなみに前作と同じ登場人物が出てきても、一種のパラレルワールドとして描かれているのか、そうべえたちも閻魔様も特に顔見知りではなさそうです。

 

そして今回もまたとりあえず糞尿地獄へ放り込まれるわけですが、山伏がまじないによってうんこの池をがちんがちんに固めてしまいます。

が、まじないの途中で突き飛ばされ、閻魔様まで引きずって糞尿の池にはまったままで固めてしまったので大変。

 

出られなくなった閻魔様が泣きつき、そうべえたちは極楽行きと引き換えにまじないを解きます。

さて、極楽は一転して目にも鮮やかな極彩色で描かれます。

 

いい気分になって浮かれ騒ぐそうべえたちですが、阿弥陀様に見とがめられ、結局また地獄送りを言い渡されます。

牢屋の中で新キャラの絵師「ゆきえもん」と出会い、そうべえは縄抜けの術で自由の身に。

外では阿弥陀様たちが花の蜜のジュースで宴会をしています。

 

ゆきえもんが花の色の混ぜ方を工夫すると、花のジュースは世にもおいしいお酒に。

とうとう阿弥陀様までご機嫌で踊り出し、天国も地獄もごっちゃになってしまいます。

 

★                   ★                  ★

 

今回は生き返りエンドではないんですね。

ストーリーはオリジナルな展開ですが、要所要所に落語のネタや言い回しが散見されます。

屋根から落ちた怪我人を診て、「落ちる前ならなんとかなったが」とうそぶく藪医者のちくあん先生とか。

 

ちょっと今では使う人がいないような関西弁も遠慮なく使われていますので、読み聞かせ難度は高いですけど、これをノリノリで読めるようになると楽しいですよ。

 

絵師のゆきえもんのモデルはおそらく作者自身でしょうね(名前からしても)。

上方落語にも「抜け雀」など、絵描きの登場する噺はあります。

 

ちなみになかなかの数のネタを聴いた息子ですが、どういうわけか肝心の(?)「地獄八景亡者の戯れ」だけは聴こうとしません。

「じごくのそうべえの元ネタ」ということを教えたら「ぼくは絵本の方が好きだから」という謎の理屈で聴かなくなってしまいました。

どっちも面白い、でいいのに。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆

歯抜き師のしかい先生…度:☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「わにくん」【433冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介する絵本は「わにくん」です。

作:ペーター・ニクル

絵:ビネッテ・シュレーダー

訳:矢川澄子

出版社:偕成社

発行日:1980年1月

 

色々語るべきところは多い作品なんですけど、何はともあれ絵が素晴らしい。

絵本というより画集のような佇まいで、色使いがとにかく美しい。

某小説に登場して話題となった絵本「ラ・タ・タ・タム」と同じビネッテ・シュレーダーさんの絵で、作者も同じペーター・ニクルさん。

 

エジプトの砂漠、スフィンクス、ナイル川が幻想的に描かれ、主役のわにがお洒落な帽子とパイプを身に着け、気取ったポーズを取っている表紙絵。

基調となっているグリーンの美しいこと。

「わにくん」という牧歌的な邦題とデフォルメされたわにの姿は可愛らしいけれども、爬虫類そのものの眼と、真っ赤に裂けた巨大な口に並ぶ無数のぎざぎざの歯には少し怖さもあります。

 

美しいけどシュールな絵と展開、どこか風刺的な物語。

やや取り扱い注意といった絵本ですが、やっぱり何度読んでも楽しいことには違いないです。

 

ナイルの川岸に寝そべったわにの描写から始まりますが、優雅にリラックスした姿勢で足に花を持ったりして、なかなか詩情を感じさせるわに…なのですが、傍らには今しがた食事を終えた魚の骨が散らばっており、生々しい生も対比的に描かれているのですね。

 

そこへ散歩に来た浮かれ気分のご婦人二人。

一人がわにを見て、「まあ すてき、わにの みせに つれていきたいこと!さぞや いろいろ やくに たつでしょう」と叫ぶのを耳にしたわには、そのわにの店に行ってみることを決意します。

ここからわにの旅路が描かれます。

船に乗り、ヨットに乗り、汽車に乗り、花の都パリを目指すわに。

 

そのひとつひとつのカットは壁に飾りたいほど綺麗です。

パリに到着したわにはカフェに入ってコーヒーを飲み、シャンゼリゼ通りを冷やかし歩きますが、人々は無気力で不気味で、妙な不安を感じさせるように描かれています。

そしてついにわには目的の店へ入りますが、ここで矢川澄子さんの「せいてんのへきれきとは このことだ!」の名翻訳。

そこはわにのための店ではなく、わに革の品物を売る店だったのです。

わにはショックを受け、怒り狂います。

そしてやにわに売り子の「ソフィーさん」を一飲みにしてしまうのです。

 

それからソフィーさんの持ち物だった「しゃれた しなじなを ふくろに ごっそり」詰め込んで、「これで きも はればれ。やましい おもいは さらになく」ナイルへ戻っていきます。

 

その後、ナイルにはおしゃれなわにがたくさんいるようになります。

帽子を被ったり傘をさしたり、おめかししたり、時には香水の香りまで。

 

★                   ★                  ★

 

ラストはかなり衝撃的ですし、子ども向けでないと言われればその通りかもしれません。

動物虐待に対する警告であるとか、身を飾るために動物の命を奪う人間の残虐さや傲慢さに対する皮肉であるという読み方もできるでしょう。

しかしながらその一方で、わには単に「愚かな人間」を誅殺するだけの存在ではなく、人間の真似をして身を飾る人間臭さを備えています(まあこのわには最初から最後まで人間臭いんですけど)。

 

なかなか単純な物語ではないのですが、細かいところを全部払拭して余りある絵の幻想的美しさ。

やっぱり画集的絵本と呼べるかもしれません。

あれこれ難しく解釈しようとするより、ひたすら夢の中のような美しい景色に、わに同様うっとり浸るのがこの絵本の楽しみ方だと思います。

 

推奨年齢:6歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ソフィーさん哀れ度:☆☆☆

 

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