【絵本の紹介】「めがねうさぎ」【316冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

近視大国・日本。

国民の約6割が近視だそうで、発症する年齢もだんだん下がっているようです。

私も妻も小学生の頃に近眼が始まりましたが、息子の場合はもともと良い目が悪くなったのではなく、そもそもピント機能が発達していない弱視の近視でした。

 

去年の暮から治療用眼鏡をかけた生活を始め、どうにか最近に矯正視力が出るようになりました。

しかし、眼鏡が外せるようになったわけではありません。

今では手術で近視は治ります(私も妻も手術済み)が、大人になるまでは眼鏡(かコンタクトレンズ)が手放せないわけです。

 

親としてはどうにも不憫で、あれこれ気を回したり、もっと可愛いフレームにした方が良かったかと悩んだりしますが、本人はすでに眼鏡が体の一部となっており、起きるととりあえず眼鏡を探すようになりました。

 

大人が気にするほどには子どもは眼鏡を疎ましく思っていないようです。

まあ、これだけ眼鏡の人が多くなると、学校でももういちいち冷やかされたり、からかわれたりということもないのかもしれません(まだ息子は学校に行ってないから知らないけど)。

 

今回はせなけいこさんの「めがねうさぎ」を紹介します。

作・絵:せなけいこ

出版社:ポプラ社

発行日:1975年2月

 

表紙を見ればわかる通り、日本中の子どもたちにトラウマを植え付けたあの最恐絵本「ねないこだれだ」と同じ造形のおばけがここにも登場します。

 

≫絵本の紹介「ねないこだれだ」

 

ただ読めばわかりますが、このおばけは見た目は「ねないこだれだ」のおばけと一緒でも、セリフも行動も表情も愛嬌たっぷりで少しも怖くありません。

天然眼鏡っ子キャラクターの「うさこ」にいいように翻弄されてしまいます。

 

冒頭の一文がとてもいい。

近頃目が悪くなったうさこが眼鏡をかけるようになると、友だちが面白がって「めがねうさぎ」と呼ぶようになります。

するとうさこは「ちょっぴり はずかしく ちょっぴり とくいです」。

そうなんですよね。

子どもは眼鏡でも松葉杖でも、周囲と違う特別を誇らしく思ったりするようです。

マドレーヌは、盲腸の手術痕を見せびらかしてましたし。

 

≫絵本の紹介「げんきなマドレーヌ」

 

さて、夜寝る前になって、うさこは眼鏡をしていないことに気づきます。

昼間遊んだ山で落としたのかもしれないと思い、うさこは大胆にもひとりで探しに出かけます。

そこで眼鏡と間違えて、ふくろうの目玉やねずみのしっぽを掴み、叱られます。

森の奥まで来たところ、そこには退屈したおばけが待ち構えていたのです。

 

うさこを見つけたおばけは張り切って「べろべろ ばあー」。

ところがド近眼のうさこは目の前のおばけがよく見えていません。

ちっとも怖がらないうさこにがっかりしたおばけは、うさこの眼鏡探しを手伝います。

汗をかきかき、必死になって眼鏡を探すおばけが愛おしい。

一方のうさこは「だれだか しらないけど しんせつな ひとだなあ」と座って待っています。

 

一晩中かかってやっと眼鏡を見つけたおばけは、うさこに眼鏡をかけさせ、今度こそ驚かせてやろうと伸び上がります。

ところがちょうど夜が明けてしまい、朝日を浴びたおばけは「きゃあ!」と叫んで消えてしまいます。

 

結局うさこは何も知らないまま、眼鏡が見つかったことを喜びながら帰って行くのでした。

 

★      ★      ★

 

ユーモラスな展開でありながら、そこはかとなく怖い雰囲気だけは漂っているのがせなさんの持ち味。

夜の山なんて普通でも恐ろしいところなのに、見えていない状態で平気で歩いて行くうさこには驚きです。

 

むしろ見えているからこその恐怖があり、見えないから逆に怖くないという逆転現象が描かれています。

それは視界だけの話ではなく、のほほんとしたうさこの性格ゆえに、何も恐れることがないのです。

 

身体機能が正常であることはもちろん望ましいことですが、精神が健康であることのほうがさらに喜ばしいのではないでしょうか。

眼鏡の息子を持つ身となってから、今一度この絵本を読むと、何だか勇気づけられるのです。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

おばけに同情度:☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「めがねうさぎ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「きゅうりさんあぶないよ」【313冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

私はほとんどテレビを見ないんですが、この前スズキコージさんが出ると聞いて「日曜美術館」を息子と一緒に録画視聴しました。

代替不可能な感性を持った絵本作家・画家。

現在71歳。初めて知ったんですが、緑内障を患われていて、片目を失明されているんですね。

去年亡くなられた加古里子さんも、同じ病気で苦労されていたのを思い出しました。

 

以前「コーベッコー」という作品の記念展でスズキさんとお会いしたことがあります。

 

≫スズキコージ「コーベッコー」出版記念絵本原画展とサイン会に行ってきました。

 

息子はもう忘れているだろうと思ってたんですが、自分あてにサインをもらったこともちゃんと憶えてました。

野外で巨大なキャンバスに素手で絵を描く「ライブペインティング」のシーンが特に気に入って、何度もリピートしてました(見終わると微妙にスズキさんっぽい喋り方になってて笑えました)。

 

とにかく絵の個性が強烈で、読者を選びかねないスズキ作品。

その圧倒的独自性ゆえに絵の仕事も断られることが多く、堀内誠一さんに見出されて絵本の道に入ったものの、不遇の時期も長かったそうです。

 

独特なのは絵だけではなく物語の内容も同様で、ほとんどの作品が従来の絵本の枠組みに収まらないようなハチャメチャな展開と理解しがたい世界ばかり。

絵柄の変遷はあっても、キャラクターのアクの強さは変わらず。

一種黒魔術的な危なさを感じてしまう読者も少なからずいるのではないでしょうか。

 

今回紹介する「きゅうりさんあぶないよ」もまた、とても他の作家には描けない唯一無二の絵本です。

作・絵:スズキコージ

出版社:福音館書店

発行日:1998年11月10日

 

主人公「きゅうりさん」は、きゅうりに顔があり、蔓のようなぐるぐるした手足を持ち、斜め掛け鞄を持ったヘンなキャラクター。

彼が一言も発さずにずんずんと進み続けます。

それに対し、くま、トナカイ、ハリネズミ、やまねこといった動物たちが

きゅうりさん そっちへいったら あぶないよ ねずみがでるから

と注意します。

意味わかりません。

きゅうりさんは忠告を聞いてるのか聞いてないのか、とにかく進み続けますが、動物たちと出会うたびに、彼らの身に付けている物を少しづつもらって装備していきます。

この変化・進化が面白い。

何度もページを行ったり来たりしてしまいます。

帽子、眼鏡、ほうき、手袋、やかん(?)、旗、リュック、エプロン、ローラースケート、ベルト……。

もはや最初の姿からは想像もつかないような変貌を遂げ、最後にはヤギから白いあごひげをもらい(どうやってもらったんでしょう)、ついに件の「ねずみ」と対峙。

 

ねずみはきゅうりさんの神々しい姿を見るなり「あぶない!」と叫んで逃げ出し、きゅうりさんはそれを追いかけます。

 

★      ★      ★

 

自分で書いてても、何だかわからないから、説明されてもわからないでしょう。

一度読んでみるしかない、そんな絵本です。

 

ナンセンスと言えば途方もなくナンセンスなんですが、スズキさんの作品は例えば同じ絵本作家の長新太さんとか佐々木マキさんのナンセンスさとは違う気がします。

長さんの描く絵本は頭の固い大人の怒りを買ったりしますが、スズキさんの場合は怒ることすらできない、といった風でしょうか。

 

これほど異質な作品を描きながら、挑発的な匂いも実験的な意図も感じられないのがスズキさんらしい。

とにかく自分のイメージを素直に表現したら「こうなっちゃったよ」と、自分でも感心してしまってるような気配がします。

 

例の「日曜美術館」で、スズキさんはあまり読者である子どものことは考えてないと話してますが、そうだろうと思います。

子どものことを考えてたらこんな絵本は描けませんよ。

子どもだってこんなのは意味不明です。

 

だけど、子どものいいところは意味が分からなくてもそこにある「おもしろさ」には気づいてくれること。

シンプルに捉えれば、きゅうりさんの装備の変化を追うだけで充分すぎるくらいこの絵本はおもしろいんです。

まるで古臭いRPGゲームみたいにだんだんと重装備になっていって、裏表紙では勇者のように銅像まで建てられている。

なんかわからないけど、こういう「増えて行くおもしろさ」というのは確かにあります。

 

もう結構長い期間「個性を大事に」なんて的外れなことを教育現場で掲げていますが、その割にはこの国には個性的な大人というのは驚くほど少ないです。

むしろ個性的・個人的であれば生きにくい社会ですから、当然と言えば当然です。

 

スズキさんはずっと理解されない孤独や生きづらさを感じてこられたのではないでしょうか。

普通の人はそこで個人的であることを諦めて、周りの価値観に自分を合わせて生きることを覚えるのですが、スズキさんはけっして自分を諦めなかった人なんだと思います。

 

本来人間はこれくらい個人的であっても自由であっても構わないはず。

スズキさんの作品や生き方を見ているとそんな気持ちになるんです。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆

銅像の文字が読めない度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「きゅうりさんあぶないよ

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【絵本の紹介】「ゴムあたまポンたろう」【308冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「ゴムあたまポンたろう」です。

作・絵:長新太

出版社:童心社

発行日:1998年3月25日

 

どうですか。

破壊力抜群のこのタイトル、そしてこの表紙絵。

説明不要の長新太ワールド全開作品です。

 

長新太さんのナンセンス絵本を取り上げることは実に久しぶりですね。

これまで何度かにわたって彼の世界を読んできました。

 

≫絵本の紹介「キャベツくん」

≫絵本の紹介「チョコレートパン」

≫絵本の紹介「ぼくのくれよん」

≫絵本の紹介「ごろごろにゃーん」

 

まだまだ紹介したい長新太作品はあるけれど、結局過去記事の繰り返しになりそうで悩ましいところです。

だいたい、あれこれ解釈したり分析したりすること自体、長さん絵本を「わかってない」ような気すらするのです。

そういう凡人の賢しらを超越したところに彼の絵本は存在します。

 

かと言ってもそれはお高く止まった芸術家とはまったく無縁の、限りなく温かいものです。

だから私も性懲りもなく長さんの作品について語ることができるのです。

 

今回はピンクを基調にした色使いで、丸いスキンヘッド頭で直立不動の姿勢で空中飛行する主人公が描かれます。

その名も「ゴムあたまポンたろう」。

もう、この名前がすべてを表しています。

この少年は頭(だけ)がゴムでできているという、某人気漫画の主人公みたいな能力者。

しかし、その特性の使い方はひたすら受動的。

 

ゴムの弾力の続く限り飛んで行って、頭から墜落してまた反動で飛び上がる、を繰り返すだけ。

落ちて行った先には大抵ヘンなものが待ち構えていて、何だかハラハラします。

ポンたろうはどんなものに当たっても痛くないそうですが、一応飛び上がるには条件があるようで、柔らかいものや尖ったものは苦手。

でも、オバケに当たった時はちゃんと飛ぶんですな。

 

最後はゴムの木の枝で一休みします。

 

★      ★      ★

 

ポンたろうの目的はよくわかりませんが、どうやら彼は旅行しているようです。

色々心配もしつつ、途中の景色や花の香りを楽しんでいるみたいです。

 

しかし、この旅行はやっぱり「受け身」であり、風まかせ(ゴムまかせ?)といった気配です。

してみると、これは長さん流の「ヒッチハイク絵本」なのかもしれません。

 

行先に何が待ち構えているか次第で移動距離や方角が変わったり、時にはヒヤヒヤしたり。

そんなトラブル自体を驚き楽しむ放浪者としてポンたろうは旅を続けていくのでしょう。

 

そして相変わらず、長さんの描く世界はどこまでも広々として開放感があります。

読んでいると、普段の凝り固まった思考や感情からポーンと解き放たれる気がします。

 

読者の頭も柔らかくて弾力に富んだ「ゴムあたま」に変えてしまう一冊です。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

出オチ度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「ババールとサンタクロース」【288冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は久しぶりに「ぞうのババール」シリーズの続きをやりましょう。

ババールとサンタクロース」です。

作・絵:ジャン・ド・ブリュノフ

訳:矢川澄子

出版社:評論社

発行日:1974年12月30日

 

この「ババールとサンタクロース」はシリーズ5作目にして、ブリュノフさんの遺作となります。

私もこの大河ロマン的絵本を綴ってきて、とうとうここまで来たかと感慨ひとしおです。

過去記事も併せてお読みください。

 

≫絵本の紹介「ぞうのババール」

≫絵本の紹介「ババールのしんこんりょこう」

≫絵本の紹介「おうさまババール」

≫絵本の紹介「ババールのこどもたち」

 

幼くして母親を亡くし、逃亡の果てに良き理解者や伴侶と出会い、ついにはぞうの国の王となったババール。

いくつもの試練を乗り越えたババールは、三人の子どもに恵まれ、幸せな安定した暮らしを手に入れます。

 

そして今回は、こざるのゼフィールが人間の世界で「サンタクロース」と呼ばれるおじいさんの存在を知り、アルチュールとババールの子どもたちにその素敵な話を聞かせるところから始まります。

 

彼らはさっそく、自分たちもクリスマスにプレゼントがもらえるよう、サンタクロースに手紙を出します。

けれど返事は来ず、がっかり。

 

そんな彼らを見たババールは、自らサンタクロースに会って直談判しようと決意します。

 

身分を隠し、一人旅に出るババール。

サンタクロースの手掛かりを求める彼の前に、様々な登場人物が現れ、協力してくれます。

サンタクロースについての文献を手に入れ、学者に解読してもらい、犬の協力を得て、サンタクロースのいるらしき「プリムネストエ」に向かいます。

 

そこでやっと本物のサンタクロースの家に辿り着きます。

サンタクロースは地下に住んでおり、アリの巣のようなその内部が図解されます。

実に楽しいシーンです。

 

さて、サンタクロースは忙しくてとてもぞうの国までは回り切れないとのこと。

そこでババールはクリスマスまでの休暇として、サンタクロースをぞうの国へ招待することにします。

 

ひこうせん サンタとくべつごう」に乗り、ぞうの国に帰還するババール。

サンタクロースはぞうたちの熱烈な歓迎を受け、ゆっくりとバカンスを楽しみます。

 

そのお礼として、サンタクロースはババールにサンタクロースの衣装とおもちゃの袋を渡します。

ババール自身がサンタとなって、ぞうの国の子どもたちにプレゼントを配るのです。

もちろんクリスマスは子どもたちはみんな大喜び。

サンタクロースはクリスマスツリーを届けてくれ、来年からは毎年ぞうの国にも来てくれることを約束して帰って行くのでした。

 

★      ★      ★

 

今回は絵本界最強クラスのご都合主義パワーは抑えられ、ババールはなかなかに苦労します。

その象徴として、例の大金持ちのおばあさんが登場しません。

彼女ならサンタクロースに対するコネも持ってそうなのに。

 

つまり、もうババールは完全に大人なのです。

自らの力で人生を切り拓く力を持っているのです。

 

その力の根源は、これまでのシリーズで繰り返し描かれてきた「落ち着いた態度」「均衡の取れた感情」「理性的な対処」といった「正のパワー」です。

不治の病に侵されたブリュノフさんは、最後の最後まで、子どもたちへのこれらのメッセージを送り続けたのです。

 

彼の死後、残された原稿をもとに、息子のロランさんがこの絵本を完成・出版しました。

そしてそれ以降も、「ババール」シリーズはロランさんの手によって描かれ続けています。

 

この間紹介した「マドレーヌ」シリーズが、作者の孫の手によって引き継がれたのと同じです。

 

≫絵本の紹介「マドレーヌのクリスマス」

 

奇しくも、作者の最後の作品がクリスマスにまつわるものという点まで共通しています。

 

ジョン・ベーメルマンスさんもロラン・ド・ブリュノフさんも、自分が子どもの頃から親しみ続けてきた偉大で楽しい絵本シリーズが終わってしまうことに耐えられなかったのでしょう。

作者の魂は作品と共に生き続け、また次の世代へと受け継がれていきます。

 

「正のバトン」を受け取った者は、それを正しく次のランナーに渡す使命感を呼び起こされます。

そんな風にして、ブリュノフさんが命を削って描いた「ぞうのババール」は、今もなお、世界中の子どもたちの生きる力となっているのです。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

サンタ家の断面図の楽しさ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ババールとサンタクロース

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【絵本の紹介】「さむがりやのサンタ」【287冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは「さむがりやのサンタ」です。

作・絵:レイモンド・ブリッグズ

訳:すがはらひろくに

出版社:福音館書店

発行日:1974年10月25日

 

この時期になると今でも本屋さんに並ぶロングセラーです。

テキストなしのコマ割り手法を用いた「ゆきだるま」が世界中で大人気になったブリッグズさん。

この作品も同様にテキストはなく、フキダシにによるセリフのみという漫画的絵本です。

 

≫絵本の紹介「ゆきだるま」

 

点で描かれたつぶらな瞳がチャーミングなサンタさん。

絵本に登場するサンタさんって、わりかし作者の個性がにじみ出たキャラクターが多いんですが、このサンタさんは少なくとも見た目は一発でわかる王道サンタクロースです。

 

ところが、ページをめくってみると予想外。

何しろ、いきなり自宅のベッドで南国の夢を見ているところを目覚ましに起こされて、不機嫌そうな顔で、

やれやれ またクリスマスか!

と愚痴が飛び出すのです。

そして、ぶつぶつと文句を言いながら紅茶を入れ、朝ごはんを用意し、身支度をします。

これが細かいコマ割りで実にリアルに、丁寧に描かれています。

 

イギリス風生活を営むサンタの日常がありありと想像できるのです。

口を開けば文句と愚痴ばかりなサンタですが、生活の所作は丁寧で実直。

 

プレゼントをそりに積み、きちんと幌をかけ、一緒に暮らす動物たちに声をかけ、仕事に繰り出します。

 

そして一軒一軒を回ってプレゼントを配るのですが、これがなかなかの重労働。

意外にも煙突はお嫌いなようで、考えてみれば玄関を開けていてもらえば早いものを、わざわざ煙突を降りなければ入れないのは確かに非効率です。

 

えんとつなんて なけりゃいいのに!

すすだらけになっちまった

 

悪態をつくサンタに、同情しつつもついクスリと笑ってしまいます。

ラジオで雪情報を聴きながらお弁当のサンドイッチを食べるサンタ。

ちゃんとトナカイにもエサをあげます。

 

住人の差し入れ、ジュースは喜ばないけど酒には満足。

寒いですものね。

 

牛乳配達人と言葉を交わし、女王の宮殿にもプレゼントを配り、やっと仕事は終わります。

ここで終わらないのがこの作品のいいところ。

自宅へ戻ったサンタは、また紅茶を入れ、トナカイを労わり、温かいお風呂に入って一杯やります。

 

そして、自分へのクリスマスプレゼントを開け、ひとくさり文句。

寝る前にはちゃんと犬と猫にもプレゼントをあげ、最後は読者に向かって仏頂面で、

ま、おまえさんも たのしいクリスマスをむかえるこったね

 

★      ★      ★

 

いやあ、実に楽しいサンタさんです。

 

口が悪くて不愛想で文句が多いけど、根はやさしくて仕事も暮らしぶりも丁寧で真面目。

昔の頑固おやじ風のブリッグズサンタ。

 

何だか普段は知らないお父さんの仕事を覗き見たような気分になります。

それが不思議と温かく、親近感が湧きます。

 

リアリティと人間味たっぷりだけど、夢は壊れず、むしろサンタさんがもっと好きになる、そんな素敵な絵本です。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆(コマ割りについてこれる子でないと難しいです)

人間臭さ度:☆☆☆☆☆

 

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