2024.01.19 Friday
【絵本の紹介】「なずずこのっぺ?」【470冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回は「昆虫語」で描かれた前衛的絵本「なずずこのっぺ?」を紹介しましょう。
作・絵:カーソン・エリス
訳:アーサー・ビナード
出版社:フレーベル館
発行日:2017年11月
「なずずこのっぺ?」ってなに?
しかし次の瞬間ムクジャランカは鳥に捕食され、「フンクレガ」は再び子どもたちの遊び場に。
そしてだんだんと成長した芽は綺麗な花を咲かせます。
昆虫たちは集まって「ルンバボン!」「みりご めりご ルンバボン!」。
やがては花も枯れ、子どもたちも秘密基地に「じゃじゃこん」(おそらく別れの言葉)。
そして季節は巡り…。
★ ★ ★
絵を読むことによって物語を想像する「テキストなし」の絵本は色々とあるんですが、「昆虫語」のみで語るというのはなかなか実験的。
しかも全くのでたらめというわけではなく、同じフレーズが別の場面で使われていることによって、ちゃんと意味を想像できるように構成されているところがポイント高い。
もう一つ翻訳版で感心するのは訳者の言語センスです。
「フクレンガ」は「隠れ家」を想起できるし、「わっぱど がららん」は「わからない」、「ぽしゃり」が「潰れる、駄目になる」といった意味を伴っていることは語感にも合う感じがします。
訳者はアーサー・ビナードさん。
日本人ではないのに日本人より日本語センスあるんじゃないかと思ってしまいます。
実際日本で様々な絵本の翻訳や詩作を発表しており、「ドームがたり」というアメリカ人の立場で原爆について語るという難しい絵本も手掛けています。
以前このブログでも取り上げました。
ちなみに原題は「Du Iz Tak?」。
英語話者にはまた違った語感で伝わるんでしょうね。
これを翻訳(?)するというのはとても難しいながらも面白い作業だと思います。
カーソン・エリスさんのイラストも素敵で、昆虫たちの擬人化は可愛いし、ちゃんとそれぞれの生態に従って動いています。
冒頭に蛹となった幼虫が最後に羽化するシーンなど、絵の隅々まで読む醍醐味もあります。
さらにちなみにですが、邦訳版のタイトルデザインは森枝雄司さん。
こちらもなかなかのセンスあるレタリングをされてます。
細部にわたって何度も新しい発見がある、楽しい作品です。
推奨年齢:5歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
オリジナル言語を考えたくなる度:☆☆☆☆☆
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