2024.03.25 Monday
【絵本の紹介】「ルンバさんのたまご」【474冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
ちょっと息子が体調を崩しまして、やっと治ってきたと思ったら妻が熱を出し、色々と私生活がバタついております。
まだまだコロナには油断できませんし、小学校などではインフルエンザも流行しているようですので、皆様もどうぞお体に気を付けてお過ごしください。
さて、今回は以前から紹介してみたかった「ルンバさんのたまご」を読みましょうか。
作・絵:モカ子
出版社:ひかりのくに
発行日:2013年4月
10年以上前の作品ですが、絵本界では10年はまだ新作(言い過ぎかな)。
作者のモカ子さんはこの作品でデビューということで、やっぱりまだまだフレッシュな作家さん。
現代風のいかにも可愛らしい絵柄や細部の描きこみ、ほのぼのとしていながらどこかシュールさも漂う世界。
独特のユーモアが効いています。
まず、主人公の「ルンバさん」ですが、正体が不明。
たまごとにわとりのお話なんだろうと思って読むと、どうもそうではない。
にわとりの被り物や羽を身に付けていますが、脱いでしまうと何やら斬新なヘアスタイルの謎の生き物なんですね。
このルンバさん、ひよこが大好き。
その「好き」の方向が見ようによっては偏執的で、いわばひよこマニア。
「げっかん ひよこ」のプレゼント企画に応募し、それが当選。
巨大なたまごが届きます。
さあルンバさんは大喜び。
一生懸命たまごを温めるとたまごはずんずん大きくなって…
「105つご」のひよこちゃんが孵化します。
ひよこたちはルンバさんをおかあさんと認識。
ルンバさんはひよこたちにご飯を用意したり、一緒に遊んだり、お風呂に入ったり。
思う存分愛情を放出し、幸せな気持ちでひよこたちと眠りにつきます。
★ ★ ★
ひよこちゃんたち可愛い。
ちゃんと105ひき描きこまれていますし、一匹一匹見ていくだけでずっと楽しめます。
その上で、これはむしろ褒めているんですけど、やっぱりどこかに狂気を孕んだ絵本だと思うんですね。
上記したようにルンバさんはにわとりではなく、ひよこが好きで好きでたまらないけど自分ではひよこたちの母親にはなれない。
いわばひよこたちの里親となるわけです。
105つごワンオペなんて子育て経験のある親からしてみれば想像しただけで頭がおかしくなりそうな状況ですけど、ひよこ愛MAXなルンバさんは幸せいっぱいで世話に励みます。
考えてみればこれを単純に母子の物語にしてしまうと、旧態依然とした「母性幻想の押し付け」となりかねませんが、ルンバさんが100%自分で望んだ環境という設定のおかげでそこは回避されていると言えるでしょう。
前述したマニア的な偏愛も、現代的な愛情の在り方を肯定的に捉えた多様性の尊重と読むこともできます。
しっかり人気作になって続編も出ていますので、この世界が好きな方は是非に。
推奨年齢:5歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
ひよこ愛度:☆☆☆☆☆
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■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「400冊分の絵本の紹介記事一覧」
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