2019.12.23 Monday
【『ねないこだれだ』誕生50周年記念】「せなけいこ展」に行ってきました。【阪急うめだギャラリー】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
年の瀬も押し詰まってまいりました。
当店は今月28日から新年1月5日までの間は出荷作業をお休みさせていただきます。
現在ご注文を受けている商品を含め、12月27日(金)の午前中までに入金が確認できました商品につきましては年内の発送が可能です。
それ以降は年明けの発送となりますのでご注意ください。
なお、お休み中も受注・メールでのお問い合わせは常時受け付けております。
さて、以前の記事でお知らせしていた「『ねないこだれだ』誕生50周年記念せなけいこ展」へ行ってきました。
大阪は阪急うめだ本店の9Fのギャラリーにて2020年1月6日(月)まで開催されています。
≫公式HP「『ねないこだれだ』誕生50周年記念 せなけいこ展」
※我が家の息子も来年からは小学生ということを考慮して、顔写真をネット上に晒すのはやめることにしました。
さて、全国の子どもたちに衝撃を与えた最恐トラウマ絵本「ねないこだれだ」。
私も「おばけになってとんでいけ」の決め台詞に震え上がりつつ、何度も読み返さずにはいられなかった子どもの一人です。
今展ではそんな不朽の名作「ねないこだれだ」を含めた絵本原画約250点や、作者のせなけいこさんの来歴が紹介されています。
せなさんは1931年東京生まれ。
銀行に勤める一方、子どものための絵を描く仕事に就きたいと願い、19歳の時に童画家武井武雄氏に弟子入りします。
長い下積み時代の間に結婚・出産を経験し、母親となります。
子育てに追われながら37歳の時、「いやだいやだの絵本」4冊シリーズでついに絵本作家デビューを果たします。
「おかあさんのつくった絵本」が当時のキャッチコピーであり、言うこと聞かずの子どもに手を焼く母親からも共感を集める内容でしたが、もちろんそこには長い間研鑽を重ねた技術の裏付けがありました。
何でも「いやだいやだ」と言う「イヤイヤ期」の主人公「ルルちゃん」はその後の作品にも度々登場しますが、彼女はせなさんの娘さんがモデル。
「にんじん」に登場するにんじん嫌いの男の子は息子さんがモデル。
個人的には「しつけ絵本」というか「しつけに利用する目的で絵本を読む」ことには否定的なのですが、せなさんの絵本はそういう作品とは一線を画しています。
確かに問題提起のようなものはあるし、たっぷり怖がらせる要素もあるのだけれど、そこに押しつけがましさがない。
「ねないこだれだ」「きれいなはこ」「ふうせんねこ」などに代表されるラストの突き放しっぷりは強烈ですが、それゆえにと言うべきか、その不条理なバッドエンドからは「だから言うことを聞きましょう」という説教の気配がないのです。
だから子どもはどこか恐がることを楽しむことさえできる。
せなさん自身が「ねないこだれだ」は別に子どもを脅そうと思って作っておらず、おばけに対する憧れもあっての作品だという風に語っています(「ねないこはわたし」文藝春秋)。
ちょっと理解しがたい感情ですけど、確かに子どもは恐いものが好きでもあります。
せなさんはそうした子どものおばけ好きをそのまま持ち続けた人で、おばけ絵本を描くようになってからはおばけや妖怪の研究にものめり込んでいきます。
落語家の夫を持ったことも影響し、「ひとつめのくに」などの昔の日本を舞台にした妖怪絵本も様々手掛けます。
絵本以外では紙芝居などの作品も展示されています。
私が特に惹かれたのは「ピーターラビットのおはなし」を原作とした「ぴーたーうさぎ」の紙芝居。
4点だけのカットですが、せなさん独特の貼り絵によるピーターや姉妹、マグレガーさんは必見です。
せなさんのあの貼り絵がどういう風に生み出されるのかについても、詳細に紹介してくれます。
下絵を描き、トレーシングペーパーで紙に跡をつけ、紙をちぎったり切ったりして台紙に貼り付けて行きます。
この手法の魅力的な点はいくつもありますが、題材にする紙の種類の多さに驚きます。
既製の紙だけでなく、包装紙でも封筒の裏でも雑誌の切れ端でも、いいと思ったものは何でも取っておくというせなさんならでは。
人気シリーズ「めがねうさぎ」の主人公の服の模様は、せなさんお気に入りの文房具店の包装紙だそうで、26年ぶりのシリーズ新作となった「めがねうさぎのクリスマスったらクリスマス」では、同じ紙を探し出すのに相当苦労したエピソードなども。
また、グッズ売り場では定番のぬいぐるみやポストカード、缶バッジ、マスキングテープ、マグカップなどの他、リフレクター仕様のTシャツ(おばけ柄)や「めがねうさぎ」の眼鏡ケースやスマホケースなどが並びます。
バックパックはすごく可愛かったです……散々迷って買わなかったけど。
成人男性が持つにはハードル高いぜ。
お店にまた仲間が増えました。
また、阪急うめだ本店9Fには展示会とのコラボカフェもやってます。
「せなけいこ展」は今後2020年8月から広島のひろしま美術館に巡回予定です。
■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「300冊分の絵本の紹介記事一覧」
■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。
■絵本の買取依頼もお待ちしております。
〒578−0981
大阪府東大阪市島之内2−12−43
E-Mail:book@ehonizm.com