【いわさきちひろ特別展】「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」に行ってきました【美術館「えき」KYOTO】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

JR京都駅にある伊勢丹7Fの美術館「えき」KYOTOで開催中の展覧会「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」を見に行ってきました。

公式HP:「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」

 

童画家・いわさきちひろさんの生誕100年を記念した特別展です。

彼女を知らない人はいても、彼女の絵を見たことのない人はいないんじゃないでしょうか。

 

いわさき作品自体は非常に様々な場所で目にすることができるし、個人の美術館「いわさきちひろ絵本美術館」や「安曇野ちひろ美術館」などもあり、戦後絵本作家の中でもどこか別格の扱いを受けている感があります。

 

けれど、彼女の生い立ちや絵本作家以外の顔については、知らない人が多いのではないでしょうか。

 

今回の展覧会では、彼女の生涯と絵の変遷を時系列を追って見ることで、単に「あの、可愛い絵を描く人」という認識から、いわさきちひろという女性の生き生きとしたキャラクターに迫ることができます。

 

1918年に生まれ、裕福な家庭に育ち、大正デモクラシーの風潮の中で生まれた自由な学校(テストも通知票もない)に通い、絵が得意なのはもちろん、スポーツ万能で活発な少女だったいわさきさん。

しかし、その少女時代には太平洋戦争が影を落としています。

 

宮沢賢治への傾倒から入党した日本共産党の「人民新聞」にイラストや記事を書いたり、書の道でも相当なセンスを見せたり、実に多岐にわたってその才能を発揮したいわさきさんですが、彼女が生涯通してテーマとして掲げ続けたのは「子どもの幸せと平和」です。

その根っこには、やはり自身の戦争体験が大きく影響しているのでしょう。

 

画家への夢は両親の反対や不幸な結婚によって一時は断念しますが、画家・中谷泰の「水浴」という作品に出会ってから、彼のもとに師事し、再び絵の道を歩み出します。

 

いわさきさんの絵と言えば、独特の滲んだ色彩による黒目がちな子どもの絵が思い浮かびますが、当時の作品には油絵もたくさん残っています。

展覧会では、あまり私たちになじみのないはっきりした輪郭のデッサンも数多く見ることができます。

 

いわさきさん自身が、自分の絵の表現の変化を「豹変」と言っています。

彼女が何を思い、何を感じ、あのふわっと漂うような水彩画に行き着いたのか。

色々と想像させられます。

 

展示物の中で圧巻なのは引き延ばした巨大な拡大絵本原画。

全体的な印象の中で見逃してしまいがちな滲みや掠れなどの微妙な変化を確認できます。

よく知った絵本から、また新しい物語が読める気がします。

 

恒例のグッズ売り場もなかなか充実してます。

いわさきさんのイラストはキャラクター化しにくいので(いい意味で)、ぬいぐるみとかにはなりませんが、その分美しいイラストを楽しめる食器類や文具類、ポストカードなどが多くありました。

 

ただ、ポストカードは20枚とか10枚のセット販売があって、その中の1枚が欲しくてもバラ売りしてくれないのが悲しかったです。

 

この京都での展覧会は今月の25日まで。

次は2019年4月20日から5月26日まで福岡アジア美術館を巡回予定です。

 

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

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「ウォーリーをさがせ!展」に行ってきました。【大丸ミュージアム梅田】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

大阪・大丸梅田店15階にある大丸ミュージアムで今月30日まで開催中の「ウォーリーをさがせ!展」に行ってきました。

 

公式HP→誕生30周年記念「ウォーリーを探せ!展」

久々に梅田に出ましたが、日曜日ということもあって、かなりの人混みでした。

やっぱりウォーリーは人気者ですね。

 

以前に絵本紹介記事を書いていますので、そちらも併せてどうぞ。

≫絵本の紹介「ウォーリーをさがせ!」

 

絵本展としてはかなり見どころの多いもので、原画の他にウォーリーの設定資料、展覧会限定のアートやアニメーション、作者のハンドフォードさん7歳ごろの作品(めっちゃ上手い)など、約150点が展示。

もちろん一点一点が例によって高密度で描かれた「人混み絵」ですので、じっくり見て回ると丸一日あっても足りないくらい。

展覧会限定アートのコーナーは写真撮影OKです。

ウォーリーを見つけても指ささないように。

 

また、絵本作家やデザイナーなど個性的な6名のアーティストが「ウォーリー」の魅力や楽しみ方について案内してくれるガイドパネルも。

 

私も子どもの頃にずいぶん流行ったのを覚えていますが、その頃の初期ウォーリーからシリーズを重ねるごとにどんどん登場人物も増え、世界が広がっています。

ウォーリーと同じ赤ボーダーのコスチュームに身を包んだガールフレンドや犬、そして紛らわしいことこの上ない「ウォーリー親衛隊」など、作品の難易度が上がるとともにキャラクターも複雑化。

しかし「ウォーリー」を探すだけがこの作品の楽しみ方ではありません。

すでに第一作からハードモードとしてウォーリー以外のモブキャラや落とし物を探す仕掛けが施されていましたが、つい見逃してしまいそうになる絵の中のワンシーンにも作者の遊び心が満載なのです。

 

あのとんでもない密度の絵の中にはだじゃれや言葉遊びが盛り込まれています。

ドラキュラが野球をしているシーンでこうもり(バット)をバットにしていたり、天の川(ミルキーウェイ)に牛乳瓶が浮かんでたり。

わりとベッタベタなものが多いので、英語圏内でない私たちでもわかりやすいです。

 

それに、よく見るとちょっとした毒も含んでるんですよね。

また、前述した6名のアーティストによるコラボ作品も展示されています。

そしてグッズコーナーの充実ぶりが凄い。

400アイテム以上って。

いや、商魂たくましいです。

 

とにかく見ごたえたっぷりな展覧会であることだけは保証します。

ただ、途中で目が疲れちゃうかも……。

 

ちなみにイベントとして「ウォーリーDAY」なるものが設定されてまして、13日(土)、20日(土)、27日(土)はウォーリーと同じ赤白ボーダーシャツのお客は入場無料になるそうです。

楳図かずおさんは無料です。

 

私が行ったのはウォーリーDAYではなかったのですが、いましたよ、赤白ボーダーの女性が。

帽子とソックスまでそろえて、なかなか似合ってました。

やっぱりああいうのは照れてちゃいけませんね。

 

今後この展覧会は名古屋を巡回予定です。

 

 

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「2018イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」に行ってきました【西宮市大谷記念美術館】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今年も行ってきました、毎年恒例の「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」

いつも終了間際のレポートですけど、今回は珍しく早いですよ。

公式HP≫2018イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

 

実は前回記事の「みんなのレオ・レオーニ展」と同日に回ってます。

今、阪神間で行われている3つの展覧会のいずれかのチケットを提示すれば、相互割引が受けられます。

 

詳しくは≫「夏休みと絵本展のこと」

 

さてさて、もう1年たったのかーっていうのが一番の感想だったり。

この「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」は、ボローニャで開催される絵本コンクール(5点1組の絵本原画を用意すればだれでも応募可能)の入賞作品を集めた展示会です。

 

今年は約70か国3053作品の応募があり、日本人10名を含む25か国77作家(うちユニット3組)が入選を果たしました。

そのすべてがここで見ることができます。

 

何しろすごい数ですので、ひとつひとつじっくり見ていると膨大な時間がかかります。

正直なところ、小さな子どもを連れての観覧に向いているとは思いません。

展示されている高さが子ども目線ではないですし(息子に見せるにはいちいち抱き上げなくてはなりませんでした)。

 

内容の方も、絵本原画と言っても必ずしも子ども向け作品ばかりではありません。

というか、たった5点の絵でひとつの物語を構築しているわけですから、見る方もかなり想像力を駆使しなくては読めません。

 

それぞれの絵に箇条書き程度のテキストはついていますが、中にはそれを読んでも短い時間ではよくわからない作品もあります。

国も文化も違うとなおさらです。

 

でも、その極限に無駄を削ぎ落し、凝縮された表現こそ「絵本」の魅力であるとも思えます。

そして中にはぜひロングバージョンで読んでみたいと思う作品もいくつかありました(ほとんど作者名も作品名も覚えてませんけど)。

 

息子に受けて、私も面白いと思ったのは「都会の中の野性」(タイトルうろおぼえですが)という作品で、街の風景の中に隠し絵のように動物が潜んでいるというもの。

信号機がキリンだったり、観覧車がクジャクだったり。

 

他には韓国の作家さんの作品で、「あか」。

これはモノクロ画に赤色だけを効果的に用い、「赤」の持つイメージや認識を見るものに発見させるような作品です。

 

その他、ストーリーはわからなくとも、絵だけで十分に楽しめる作品もたくさんありました。

が、息子が途中で飽きてしまったため、後半は駆け足に。

特別展示(スペインの作家さんの絵本原画とかアニメーションとか)はほとんど見れませんでした。

 

子どもを連れてくるなら、小学生以上になってからのほうがいいかもしれませんね。

そんなわけで、3つの展覧会のうち、「チャペック兄弟と子どもの世界」展までは足を運べませんでした。

これは9月9日までやってますので、また一人でゆっくり行ってみたいと思ってます。

 

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「みんなのレオ・レオーニ展」に行ってきました【伊丹市立美術館】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

前回の記事で言っていたように、11日から開催している「みんなのレオ・レオーニ展」に行ってきました。

公式HP→『みんなのレオ・レオーニ展』

 

会場は以前に林明子さんの「えほんのひきだし」展も開催していた伊丹市立美術館。

このブログではひろしま美術館でのレポートを書きましたが、実は伊丹のほうにも行ってます。

 

中に庭園があり、地下もあり、ちょっと入り組んでますが綺麗な美術館です。

電車で行くとまあまあ歩きます。

 

日本でも人気の高いレオニ(レオーニ)さんの絵本。

その内容はどこか哲学的で、作者の知性や崇高な思想を感じさせます。

それは彼の波乱に満ちた生涯が関係しています。

 

レオニさんは1910年にオランダのアムステルダムで生まれます。

父親はダイアモンド・カッティング専門士、母親はオペラ歌手。

伯父はかなりの美術蒐集家だったようで、レオニさんは幼い頃からピカソやシャガールなどの芸術作品に触れて育ちます。

 

その後、父親の仕事の関係でアメリカやヨーロッパ、イタリアを転々とします。

様々な国の文化や言語に触れたことが、のちに絵本作家としての彼の仕事に大きく影響したと思われます。

 

1939年、29歳の時にレオニさんは家族を連れてイタリアからアメリカに亡命します。

イタリアではムッソリーニの独裁体制で、反ファシズム運動家でユダヤ人だったレオニさんは身の危険を感じたのです。

 

第二次世界大戦後、アメリカで画家や彫刻家として認められはじめたレオニさんですが、マッカーシー上院議員の台頭と、それに伴うマッカーシズムの攻撃により仕事を奪われ、窮地に追いやられます。

 

それでも、マッカーシーの失脚とともにレオニさんは年間最優秀アートディレクター賞を受賞するなどして復帰を果たし、そして1959年、最初の絵本「あおくんときいろちゃん」を制作・発表するに至るのです。

 

この「あおくんときいろちゃん」は、孫の扱いがわからなくて困ったレオニさんが、たまたま手元にあった雑誌の広告ページから、青い紙と黄色い紙をちぎって即興のお話を作ってやったのがきっかけだったと言います。

 

抽象化の極致のようでいて、ごく自然に膨大なイメージを喚起される作品で、すぐに子どもたちからも支持を集めました。

レオニさんの絵本作りの土台というか背骨のようなものは、すでにこの時点で完成していたことがうかがえます。

 

彼の作品には常に無駄がありません。

わかりやすく、それでいて重厚なメッセージに貫かれています。

そしてよくよく読み込めば、二重三重の深みが隠されてもいるのです。

 

逆境の中で己を見つめ直し、真実を見極めることのできる崇高な「眼」を育てる「スイミー」や、一見すると生産性のない芸術家的存在の変わり者が最終的にコミュニティを救う「フレデリック」など、レオニさんの作品には、作者自身の理想とする社会像や、人間同士の関係性、「自分とは何か」を問い続ける物語が描かれています。

 

そして何より、彼の作品の深部で核を成しているものは、「平和への祈り」です。

「あおくんときいろちゃん」も、隠されたテーマは「青」と「黄色」という異なる他者同士の交流と絆です。

 

それは世界各地を転々とし、様々な偏見や攻撃に晒されながら表現活動を続けた作者自身の物語なのでしょう。

 

今回の展覧会ではそうしたレオニさんの生涯や絵本原画を紹介するとともに、絵本とは違う彼の彫刻家としての仕事なども見ることができます。

 

そして幻と言われる「スイミー」の5点しかない原画も公開されています。

これは絵本とはずいぶん色合いが違って渋い印象になっています。

レオニさんが原画として新たに描き直したものなのか、それとも絵本製版の工程で現在の色彩になったのか、今となっては知るすべもないそうです。

↑これはグッズのポストカードですが、原画版です。

 

また、レオニさん自身が手掛けた彼の絵本のアニメーションも上映されていました(グッズ売り場にてDVDも販売)。

動く「スイミー」や「さかなはさかな」、「コーネリアス」などに感動しました。

細部において絵本とは違っていて、その違いも楽しめます。

 

これがグッズ売り場の横で上映されているという計算高さ。

子どもをここに座らせておいて、ゆっくりグッズを漁れるわけです。

 

息子も喜んで観ていました。

知っている作品だけに興奮したのだと思いますが、居並ぶ子どもたちの中で一人だけゲラゲラ笑って衆目を集めていました。

↑グッズはぬいぐるみ、マグカップ、小皿、キーホルダー、ポストカード、トートバックにTシャツなどなど、充実しておりました。うちの店にもまた仲間が増えました。

 

キャラクターとしてこれだけ可愛いのに、可愛いだけでないのがレオニさんの絵本の凄いところ。

大人の一人読みにも十分耐える深みと厚みがあります。

今の時代だからこそ、もう一度彼の絵本を手に取ってみて欲しいと思います。

 

関連記事:≫絵本の紹介「スイミー」

≫絵本の紹介「フレデリック」

≫絵本の紹介「シオドアとものいうきのこ」

 

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絵本に登場するお父さんたち

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

もうすぐ父の日ですね。

絵本には星の数ほどの「お母さん」が登場しますが、反して「お父さん」は実に少ない。

たまに登場しても空気だったり。

 

そこで、今回の企画を思いつきました。

「絵本界の父親」たちに光を当てるべく、私が好きな絵本の中のお父さんたちをピックアップしてみました。

 

まったくの個人的好みで選んだものですので、あしからず。

では、どうぞお付き合いください。

 

●「もりのなか」のお父さん

まずはマリー・ホール・エッツさんの古典名作「もりのなか」より、男の子のお父さん。

最後にちらっと登場するだけなのに、非常に深い印象を与え、「絵本のお父さん」と言えば必ず名前が(名前ないけど)挙がる方です。

 

男の子を空想世界から現実世界へ連れ戻すシンボルとして登場しますが、その際に男の子の空想を一切否定しない態度と、

また こんどまで まっててくれるよ

の名言が広く支持されています。

 

●ふわふわさん

続いて「ちいさなうさこちゃん」より、うさこちゃんの父親です。

ふわふわさん」は訳者の石井桃子さんのネーミング。

 

そしてその石井さんのオリジナリティあふれる訳文により、なかなか渋くて素敵なお父さんとなっています。

特に「うさこちゃんとうみ」でのうさこちゃんとの会話は名文です。

 

うさこちゃんの主体性を引き出すようにうまく誘導しています。

 

●だるまどん

大人気「だるまちゃん」シリーズより、だるまちゃんの父親、だるまどん。

一見コワモテですが、息子を溺愛している子煩悩なお父さんです。

だるまちゃんとてんぐちゃん」で、だるまちゃんが欲しがるうちわ、帽子、履物を次々に集めてきます。

 

お店でも開けそうなラインナップ。

でも、なかなかだるまちゃんのお気に召す品を用意することができません。

 

それどころか「鼻」と「花」を間違えて、だるまちゃんにえらく怒られてしまいます。

ごめん ごめん」と平謝りするだるまどんが切ないです。

 

●スモールさん

毎回色々な乗り物に乗るスモールさん。

スモールさんはおとうさん」で、彼にも家族があることがわかります。

 

いたって普通の良い父親のように描かれていますが、その裏では飛行機や機関車を操り、時には農夫、時には消防士と八面六臂の活躍をするスーパーお父さんであることを、果たして家族は知っているのでしょうか。

 

●ババール

ぞうのババール」シリーズより、主人公ババール。

 

ババールのこどもたち」で、妻のセレストとの間に三人の子どもを授かります。

主人公が父親になるというのは、絵本界では非常に珍しいこと。

 

結核を患い、余命いくばくもない作者のジャン・ド・ブリュノフさんが、ババールに自身の子どもたちへの想いを重ねて書いたと思われる、

あのこたちのいないくらし なんて とても かんがえられないよ

というババールのセリフに胸を打たれます。

 

●「ちらかしぼうや」のお父さん

ちらかしぼうや」は、絵本には珍しいことに母親が登場せず、父と子が描かれています。

これは非常に短い絵本ながら、私が子どもに対してどう接するべきかのお手本となった作品です。

 

お父さんが片付ける端から次々に散らかして行くぼうやを、叱りつけるかと思いきや、

いいとも、いいとも

もういちど、さいしょから はじめるさ

と、抱きしめる、最高に素敵なお父さん。

 

これを読んだ瞬間、こんな父親であろう、と誓った思い出があります。

 

●「トリゴラス」のお父さん

最後は長谷川集平さんの奇作「トリゴラス」に登場するお父ちゃん。

 

息子の果てしもない妄想と情念に対し、

あほか、おまえは

と切り捨てる、大阪弁のおとんです。

 

そんな しょうもないこと ごちゃごちゃゆわんと、はよねえ!

ごもっとも。

 

「もりのなか」の子どもに深い理解を示すお父さんとは正反対のように見えますが、子どもを空想から現実世界へ引き戻すという点では同じ役割を持っているのです。

物語においては、子どもにとって父親は構造的に「現実」のシンボルなのかもしれません。

 

★        ★        ★

以上、少ないですが個性的な面々を取り上げてみました。

 

長い間絵本は「母親と子ども」のものだとされてきました。

しかしその古い認識を打ち破り、これからの時代、「お父さん」はどんどん絵本に登場するでしょう。

 

どんな新しいタイプの「お父さん」が描かれるか、楽しみな気持ちで待っております。

 

 

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