2020.02.17 Monday
【絵本の紹介】「きょうはみんなでクマがりだ」【365冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
4月から小学生になる私の息子は、結局幼稚園にも保育所にも行かないまま幼児期を過ごしました。
そのことについて様々な葛藤はあったものの、私としては必要ないという判断でそうしました。
私なりに精一杯息子と遊んできたつもりですし、本を読むだけでなく、なるべく色々な分野の遊びを体験させようとはしてきました。
でもやっぱり、どこかに偏りがあることは否めません。
例えば息子は「遊び歌」の類をあまり知りません。
私が子どもの頃はたくさんの「遊び歌」をやった記憶があります。
保育所に通ってたのと、おばあちゃん子だったので。
ただ、今はもうほとんど忘れて、息子に教えてやることもできません。
よその家庭のことはわかりませんけど、今でもああいうのはみんなやってるのでしょうか。
今回は「遊び歌」をもとにしたイギリスのロングセラー絵本「きょうはみんなでクマがりだ」を紹介しましょう。
再話:マイケル・ローゼン
絵:ヘレン・オクセンバリー
訳:山口文生
出版社:評論社
発行日:1991年1月30日
というか、「遊び歌」だという認識がないと、何だかよくわからない絵本です。
「クマがり」というデンジャラスなテーマなのに、どうみてもピクニック気分の家族連れ。
小さな子を肩車したお父さん、棒切れを持って先頭を歩く男の子。
呑気で可愛らしい絵。
絵を担当しているヘレン・オクセンバリーさんはこのブログでも何度も登場している絵本作家、ジョン・バーニンガムさんの奥さんです。
バーニンガムさんの自伝「わたしの絵本、わたしの人生」によれば、二人が出会ったのはバーニンガムさんが中央美術工芸学校に在学中のようです。
舞台美術の勉強をしていたオクセンバリーさんですが、子どもが小さい頃、在宅でできる仕事として子どもの本に携わり始めます。
夫婦そろって世界的な絵本作家というのはなかなか凄いことだと思います。
さて、「クマがり」の内容ですが、リズミカルな訳文とともに、家族5人と犬が草原や川や森を抜けて行進していきます。
「きょうは みんなで クマがりだ」
「つかまえるのは でかいやつ」
「こわくなんか あるもんか!」
川を「チャプチャプチャプ!」湿地帯を「ペタペタペタ!」大吹雪を「ピューピューピュー」と抜けて、洞穴に到達します。
その奥へ入って行くと、ついにクマと遭遇します。
が。
あれほど調子こいてた一家は、本物のクマを見た途端、「わぁ クマだ!!!!」と驚愕。
ここからは一転、クマからの脱走劇が展開されます。
この時、通ってきた道を逆廻しで抜けていくことになります。
クマはかなりしつこく一家を追跡し、とうとう家にまで押しかけてきます。
際どいところで家族は家に逃げ込み、ドアを閉めて布団をかぶって震えます。
「ぼくらは もう クマがり なんかに でかけない」
★ ★ ★
遊び歌としては、「みんな」で文と同じような動作、草をかき分けたり、川を渡ったりしながら、クマに出遭ってからの急転直下の場面を、前半の逆廻しで繰り返す面白いものです。
それを知らなくとも面白く読める絵本でもあります。
家族の無防備さと楽観性、そして謎の行動力がシュール。
後半のヘタレっぷりは可笑しいんですけど、私などは登場人物の何を考えているのかわからない表情が不気味に見えもします。
元唄を知らなくとも、絵本に沿って「遊び」はやれます。
大勢いた方が楽しいですね。
CD付きの英語版「WE'RE GOING ON A BEAR HUNT」も出版されており、原曲を聴くこともできます。
私も持ってますけど、実は遊びはやってないんです。
やっぱりねえ、苦手なのかなあ。
今時の小学校では、こういうのはまだやってるのでしょうか。
推奨年齢:3歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
危機感度:☆
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■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「300冊分の絵本の紹介記事一覧」
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