【絵本の紹介】「しきしきむらのなつ」【260冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

もう聞き飽きたセリフでしょうけど、暑いですね。

ちょっとこれは殺人的ですね。

 

夏は暑いものとは言っても、これではせっかくの夏休みも、外で遊びづらいものがあります。

プールで熱中症になるくらいですからね。

ここまで酷暑が続くと、夏の風情もなにも感じるどころではなく、ただただクーラーの効いた部屋にこもるばかりになってしまいます。

 

せめて絵本の中で、「いい夏」を感じたいと思って、今回は四季を描いた詩の絵本「しきしきむら」シリーズより、「しきしきむらのなつ」を持ってきました。

作:木坂涼

絵:山村浩二

出版社:岩波書店

発行日:2005年4月26日

 

作者の木坂涼さん(女性)は、詩人・エッセイスト。

翻訳の仕事も多数こなされており、絵本の翻訳も手掛けています。

 

私が初めてこの人の作品を知ったのは、息子が0歳、まだ絵本を読み聞かせ始めたばかりのころです。

月刊絵本「ちいさなかがくのとも」に「とんとんとんおとがしますか」という木坂さんが文を書いた絵本があり、内容が非常に平易だったので息子にちょうどいいと思って読み聞かせたところ、大ウケしたのです。

 

文のリズムや効果的な擬音が、小さかった息子にも非常に心地よかったのでしょう。

当時一番リピート率の高い一冊でした。

 

この「しきしきむら」シリーズでも、それぞれの季節の風物詩をあれこれ登場させながら、その耳に馴染みやすい言葉と文のリズムは健在です。

山村浩二さんの絵も可愛らしく、光や影を感じさせるイラストから、夏のにおいが伝わってきます。

なつ なつ なつ

なつは まぶしい ちっかちか

おひさま てって ちっかちか

 

山村さんの他の作品「くだものだもの」のような可愛くてすっとぼけた味のキャラクターが、ここでも活躍しています。

テキストには説明はありませんが、「しきしきむら」を舞台に、キツネ(♂)、ネコ(♀)、カメ、カタツムリの仲良し4人組が主人公となって夏を満喫する様子が描かれており、絵からも様々な想像ができます。

なつ なつ なつ

くん くん くん

なつの においは どこにある?

カブトムシ、アブラゼミ、やきとうもろこし、スイカ、にわか雨、そして大きな入道雲。

なつ なつ なつ

みつけた みつけた

なつ みーっけ!

 

★      ★      ★

 

夏に限った話ではなく、季節の変化や情緒を感じるには、やっぱり都会は不向きですね。

私も子どもの頃はお盆には父の田舎で過ごした思い出があり、海や山、蚊取り線香にスイカといった私の「夏のイメージ」はそこで構築されています。

 

息子にはできるだけ自然の多いところへ連れて行って遊ばせてやりたいのですが、こう暑いと道中が危険です。

今度は台風が西日本に接近してますし。

今年の夏は優しくない感じですね。

 

ともかく体調に気を付けて、健康第一で乗り切りましょう。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

五感刺激度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「しきしきむらのなつ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「なつのおとずれ」【160冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

いよいよ夏休みが始まった子どもたちも多いでしょう。

海だ! 山だ!

というわけで、夏の始まりにぴったりの一冊を紹介します。

 

なつのおとずれ」です。

作・絵:かがくいひろし

出版社:PHP研究所

発行日:2008年6月4日

 

扉の向こうからこちらをのぞくソフトクリーム、スイカ、メロン、かき氷、扇風機……。

丸い目と短い手足をつけた独特の擬人化キャラクターたち。

背景には真っ青な空と入道雲、海と砂浜。

 

夏がやってくるワクワク感が伝わってきます。

 

かたつむりの天気予報士が梅雨明け間近であることを伝えると、おひさまが夏の風物詩たちを呼び出します。

よーい」「どーん

で駆け出すソフトクリームたち。

 

遠近法を用い、ユーモラスながら大迫力の画面を展開します。

浮袋や蚊取り線香なども加わり、「ながしそうめんの じっちゃん」のところへ辿り着くと、そこから一気に滑り出します。

行き先は「なつ」。

飛び出した先のおひさまの口に入って、

ぐもももももももももももも

と、縦書き文字でロケットのように打ち上げられ、青い空から地上へ舞い降ります。

眩しい陽光の下、夏の音がいっぱい。

 

★      ★      ★

 

溢れるユニークなアイディアと構成の妙、光を感じさせる明るい色彩のタッチ。

作者のかがくいさんは2005年「おもちのきもち」でデビューし、「だるまさん」三部作で大ブレイク。

絵本界を席巻し、大いに注目を集めました。

 

しかし2009年、すい臓がんのために急逝されます。

 

絵本作家としての活動期間はわずか4年。

あまりにも惜しい才能でした。

 

かがくいさんの絵本は「読み聞かせること」をいつも念頭に置いて作られていると思います。

ですから、声に出して読んでみるとテンポが良く、大人も楽しくなるような作品ばかりです。

 

かがくいさんは亡くなられましたが、残された作品はずっとずっと後の世代まで読み継がれるロングセラーになることでしょう。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

夏度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「なつのおとずれ

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【絵本の紹介】「14ひきのぴくにっく」【105冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

いよいよ春ですね。

「14ひき」シリーズより、この季節にぴったりの一冊を紹介します。

14ひきのぴくにっく」です。

作・絵:いわむらかずお

出版社:童心社

発行日:1986年11月15日

 

自然とともに生活する、ねずみの大家族の日常を描いた人気シリーズ。

以前、「14ひきのひっこし」で取り上げて以来ですね。

 

≫絵本の紹介「14ひきのひっこし」

 

きょうは、なんて いい てんき

みんなで、はるの のはらへ でかけよう

そんな提案があって、お弁当と水筒を持って、家族でピクニックへ。

 

小鳥のヒナが生まれ、ぜんまいが顔を出し、アマガエルが鳴く。

色んな春を見つけながら、広い野原まで歩きます。

たんぽぽのわたげを見送り、青空の下でお弁当。

 

★      ★      ★

 

相変わらず、自然の描写が美しい。

 

ただ「お弁当持って、野原へ」行くだけのことが、どんなお金をかけたレジャーよりも豊かに思えます。

いわむらさんの絵本を見るたび、なんだかうらやましくなってしまいます。

 

うらやましいなら、自分もやればいいんでしょうが、いざ春が来ても、

花粉が

PM2.5が

黄砂が

と、なんだかんだ気にして、結局屋内で遊ぶことになりがちな現代。

 

もっと子どもを外に出してやりたい、のは、都会に住む親の共通の想いかもしれません。

 

さて、この絵本の楽しみ方は、とにかく絵を隅々まで堪能すること。

色んなところに小さな生き物が隠れていたりして、それらを発見するたび、子どもと一緒に盛り上がれます。

 

14ひきそれぞれのキャラクターの行動を追うのもお約束。

 

今回はいっくんが手作りの縦笛で、ピクニックに音楽を添えています。

ろっくんは相変わらずのおっちょこちょいぶりを発揮。

 

また、見返しには春の草花が名前とともに描かれており、ちょっとした図鑑にもなっています。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆

植物の名前が全然わからなくて情けない度:☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「14ひきのぴくにっく

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絵本の紹介「はなをくんくん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

立春を迎え、暦の上では春になったわけですが、まだまだ寒いですね。

今日は春を心から待ち望むこの季節にぴったりの一冊を紹介しましょう。

 

ルース・クラウス作、「はなをくんくん」です。

文:ルース・クラウス

絵:マーク・シーモント

訳:きじま はじめ

出版社:福音館書店

発行日:1967年3月20日

 

原題は「THE HAPPY DAY」。

春の幸せを描いた傑作古典ですが、白黒絵本は地味に映るため、手に取られない方も多いかもしれません。

 

印刷技術やコストとの戦いでもあった時代の絵本は、片面のみカラー印刷であったり、原画の色を再現できなかったり、様々な苦労があったようです。

 

が、この「はなをくんくん」は、あえて白黒を強みとした点で、実験的かつ革新的な作品なんです。

雪に閉じ込められた冬の森。

厳しい寒さの中、地面の下や木の中で眠る動物たち。

 

その暗く、冷たく、重い冬の描写が、白黒のタッチによって上手く表現されています。

 

ふと、ねずみやくま、りすやかたつむりまでが、「はなをくんくん」させて、起き出します。

そして、一斉に駆け出します。

大勢が向かって行った先には―――

一輪の、小さな黄色い花が。

うわあい!

ゆきのなかに おはなが ひとつ さいているぞ!

みんなが嬉しそうに騒ぎます。

 

★      ★      ★

 

そう、全編白黒の構成の中に、たった一色の黄色を、効果的に使ったのです。

これはクラウスさんとシーモントさん、どちらのアイディアでしょうね。

あるいは、先にこの黄色い花のアイディアが先にあって、絵本が出来上がったのかもしれません(おそらく、そうでしょう)。

 

春を待ちわびる気持ち、そして小さな「最初の春」を見つけた時の喜び。

それは人間も動物も変わりません。

 

シーモントさんの描く動物たちの表情豊かなこと。

非常に躍動的で、こちらの心まで弾んで踊り出しそうになります。

 

木島さんの訳も素敵なんですが、「やまねずみ」にわざわざ「ウッドチャック」とルビを振るなら、最後まで「ウッドチャック」で通して欲しかったような。

子どもに読み聞かせていて、「ん?」と怪訝な顔をされます。

ま、細かいことですが。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

かたつむりが苦手な人はちょっと注意度:☆

 

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絵本の紹介「あのね、サンタの国ではね…」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

クリスマス絵本特集第三回は、「あのね、サンタの国ではね」(原案:松本智年・一色恭子、文:嘉納純子、絵:黒井健、偕成社)を紹介します。

サンタクロース、現代の子どもたちはどのくらいまで信じているのでしょうか。

全然信じてなさそうですし、意外と信じてるような気もします。

 

子どもからの「サンタさん」に関する質問に、親がどう答えるかは永遠のテーマかもしれません。

子どもは結構現実的な整合性を求めています。

適当に答えればすぐに見抜きます。

 

これは、そういう子どもの納得感を満たす絵本です。

サンタクロースはクリスマス以外の日はなにをしているの?

という疑問に、1年12か月それぞれの過ごし方を紹介することで答えます。

 

サンタはやっぱり大勢いるようです。

世界中の子どもに一晩でプレゼントを配るんですものね。

 

そして、12月以外も、わりと忙しそう。

会議があったり、トナカイの訓練をしたり、そりの手入れをしたり。

面白いのは、プレゼントを畑で育てるところ。

サンタさんも、夏はバカンスを楽しみます。

 

秋から冬にかけて、いよいよ忙しくなってきます。

大きな仕事をする人は、ちゃんと準備も怠らないのだということですね。

こうして、みんなのもとへクリスマスプレゼントが届くのです。

 

子どもにとってはひとつの社会見学的絵本です。

読み終われば、自然と物に対する感謝の心も芽生えるでしょう。

 

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