2023.07.25 Tuesday
【絵本の紹介】「わたし、くわがた」【460冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
夏休み本番ということで、昆虫絵本を紹介しましょう。
「わたし、くわがた」です。
作:得田之久
絵:たかはしきよし
出版社:福音館書店
発行日:2006年6月1日
かなり前に紹介した「ぼく、だんごむし」と同じシリーズ。
コラージュによる温かみあるイラストと図鑑的詳細な解説、そして虫の一人称による親しみあるテキストという特徴は変わりません。
だんごむしの意外な習性や属性が明かされたように、今回もくわがたというメジャーな昆虫を扱いながら、意外と知られていない部分にスポットが当てられます。
メスのくわがたが主人公なんです。
くわがたといえばやっぱりあの立派なあごを真っ先に思い浮かべるのですが、めすにはそんな大あごはありません。
夜になると樹液を求めて雑木林を飛びます。
クヌギやコナラに樹液が出る仕組みも教えてくれます。
もちろん樹液を吸いに来るのはくわがただけではありません。
カブトムシ、蛾、カミキリムシなどが大量に群がってきます。
時には場所の奪い合いでオス同士の戦いが始まる場合もあります。
しかし戦いに勝っても、昆虫を狙うフクロウなどの天敵に襲われてしまうことも。
そんな男たちを尻目に、くわがたのメスはせっせと樹液を飲んでいます。
身体の小さいメスは天敵に見つかりにくいという利点も持っているのです。
くわがたの種類は色々。
やはり大あごの形が特徴的なので見分けやすいけども、メス同士はよく似ています。
メスが卵を産むのは腐りかかった枯れ木。
表面をかじって穴を開け、その中に一つずつ卵を産み付けていきます。
あごは小さくても、ちゃんと力は強いのです。
★ ★ ★
今の子どもたちも夏休みに昆虫採集するのでしょうか。
減ったでしょうね。
息子には自然に親しんでほしいと日々思っていますが、暑いしこの夏休みはほとんど家でマイクラ三昧。
まあ、近所の公園に行っても昔ほど虫も取れないでしょうしね。
地面を掘ってもミミズも出ないし。
息子本人は虫に興味がないわけではないみたいですが、図鑑で十分のようです。
本物の虫は触れないみたいだし。
私自身は子どもの頃、全然昆虫に興味がない少年だったので(考えてみたら乗り物とかプラモとかにもあんまり興味なかった)、息子のことをどうこう言えませんけどもね。
子どもたちを取り巻く環境はどんどん変わっていきますけど、その中でも昆虫に対する突出した好奇心を発揮して研究者の道を進むべくして進む子どもは、この先も一定数生まれ続けることを信じています。
推奨年齢:5歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆☆
でもやっぱり昆虫対決は永遠のロマン度:☆☆☆☆
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